運命は「性格の中にある」と言ったのは芥川龍之介でありますが、日々の中で心のもたらす性格は、時の経過に従い運命を大きく変える素因となります。
感謝の心で過ごす生き方と、当然とか権利とかを主張して常に不平不満の心で過ごす生き方とでは運命に多大な開きが生じます。
対人関係の中で時として誤解や考え方の違いの人から、いやみの言葉や皮肉な言動に不快感を覚える事がありますが、考えて見ればそう言う性格の人と人生を共にしている人がいる訳で、腹が立つよりも同情してしまう事があります。性格の悪さや運気・運勢の悪い人との付き合いは自分も悪い方へ導かれる事が多々あります。
人の運命と言う中に立命と言う分野があり、それは常に自分自身を「律する」生き方で、自分自身の性格を磨き上げる分野であります。
その基本概念は「忍耐と辛抱は人生の最大の味方なり」と言う精神で、四悪徳(克・伐・怨・欲)を捨てることにあります。
「克」とは人に勝ちたがる心であり譲る心の欠ける人
「伐」とは自慢したがる心であり謙虚さの欠ける人
「怨」とは怒り恨む心であり感謝心と反省の欠ける人
「欲」とはむさぼり欲しがる心で限度と節度に欠ける人
こうした要因の強弱が人格(性格)を形成して行くのであります。
次の時代を担う人達には運命と言う事を宿命的(人生は決定している)と言うことではなく、少しでも前向きな立命的(日々心を磨いて行く事)な努力で運命を切り開いて行くよう心する事を願います。謙虚さと感謝と反省する心が、大きく開花し永続を果たす必須条件である事を心して下さい。
団塊世代の定年退職が終わり多くの人達が第二の人生に入っています。誰もが直面する「老い」と言う問題がより大きくクローズアップされて来ております。
年齢は心のあり様(若さや青春)から生じると言います。まさに心は性格を産み出す基であり、その心は気力からの出発であります。やる気を起こす事や行動を起こす事、その為には希望や目的や使命を持つ事であります。
「あなたは今、幸せですか?」と問われた時にこうした希望や目的や使命を持って生きているとしたら、これに勝るものは他にありません。ましてその生き様が人に感動を与え、生きる事の躍動感を与えるとしたら人生の大きな宝を持っている事になります。
豊かさとは自ら得て行くものではなく人に与えて行くものであり、与えて行く中に愛があり、愛があればそこに尊厳も生じて来るのであります。
今の時代が希望ある時代になる為には「人に何かを与える」生き方が大切です。それは物資中心を与えるのではなく精神的なるもの、心の込められたものが大きな比重となる時代へと進むように思います。
今の時代はその過度期にあります。明治・大正・昭和と文明の進化は物の豊かさにありと言った一方的な発展でした。人は自然界から奪うことのみを行い調和や共存と言う道を捨てて来ました。
自然の法則は恩恵もあれば恐怖もあり厳しい摂理もあります。文明に甘えれば人間性は失われて行きます。常にバランスが必要なのです。平成と言う時代が心豊かな時代である事を切望します。