2012年7月 のアーカイブ

因果律と周期律

2012年7月22日 日曜日

東洋哲学の思想の根底に三才観による見方があります。森羅万象において現象した事柄のすべてにおいて、それは「結果」であり結果がある以上は「原因」があります。その原因をもたらしたのは「因縁」と言う結び付きがあると言う考え方です。

結果において「無縁」や「原因」の無いことなどなく、すべて「有縁」であります。

自然界は「天・地・人」、人間界は「精神・肉体・行動」、人の一生は「過去・現在・未来」の三才観です。また「親・自分・子」と言う繋がりの絆があって家族は構成されて来ます。

人生は人と人の出会いとめぐり合いです。「良い事と悪い事」「成功と失敗」「勝者と敗者」「健康と病気」等これらはすべて結果なのです。結果がある以上は因縁と原因があります。

良い結果の出ている人は過去の歴史において「能力」「才能」があっても時代の中に流され埋没して行った人々がいた事を謙虚に知っている事は大切な事です。

こうした謙虚さは戦後の高度成長社会の中では忘れられ、世界1・2位の経済大国(現在は中国に抜かれ3位)になったと有頂天になった時「バブル崩壊」となり、その後、現在まで20年間に亘って苦難の時代を迎えております。

成功と言う花を咲かせたのは根であり土であります。根は親で土は先祖にあたります。そして土壌は耕されていてこそ根も張っていきます。報恩とは土壌を耕す事なのです。この自覚が成功者になかったら、成功は短期的か一代限りの繁栄で終わって行く事になり永続が果たせません。これが天の摂理であり因果であります。

今、時代の大きな過度の中で凶悪な少年犯罪が多発しております。少年の親は40歳から50歳位で戦後の時代の昭和40年代生まれの人であります。

土壌にあたる祖父母は戦争体験者たちの世代です。そうした過去の因縁の土壌があり家族の歴史が語られる事無く「核家族」となり、少年はバブル隆盛の中で育てられ「忍耐」と「辛抱」と言う言葉すら理解できずに幼少時代を過ごしました。自然界で例えるなら「根なし草」の様な状況に家族がなっている結果として凶悪事件が発生している背景が有る事を知る事です。家族の歴史の消失こそ犯罪の元凶であります。

明治維新後に「家族制度(明治30年代)」が確立され、その50年後「核家族(太平洋戦争敗戦後)」になり、またその50年後の現在に家族の在り方が問い直されております。教育改革を含めて変革が生じて来ております。

こうした変革もひとつの周期(50年)であり、過去の歴史の経緯を知り、そして将来のより良き家族や世の中を作り上げる為に現在(今)と言う時代の重要性があります。報恩こそ次代への繁栄の基であります。

「因果応報」とは仏教の言葉で過去や前世の行なった事に対して言われる事です。良い行いをした人には良い報いがあり、悪い行いをした人には悪い報いがあると言われております。

また「因果は廻る尾車のごとし・・」と言う言葉がありますが、忘れかけた過去の原因が数十年後に結果となって来る応報という周期があることを改めて認識します。「因果応報」の教示は時代を超えて繰り返されていく真理です。

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知行合一

2012年7月12日 木曜日

儒教の言葉に「知行合一(ちこうごういつ)」と言う教えがあります。

「人」と言う字は知る事と考えると言う意味があり、知る事とは知識で、考えると言う事は知恵と工夫と言うことであります。

知る事と考えると言う行動が一致してこそ物事の完成を成すと言う教えです。

情報を知ると言う事は人間にとっての入力作業であり、考えて工夫して行動する事が出力作業です。この入力作業と出力作業がバランス良く保てる事が「合一」と言う事です。

今の世の中は「情報社会」と言う状況の中で24時間、次から次へと情報が入力されて来ます。生活そのものが情報に溢れており、入力過多現象(頭でっかちになった人間)が生じて来ております。

しかしその得た情報を活かしているかと言うと出力と言うものは簡単に述べれば「行(ぎょう)」すなわち「汗をかく」と言う事ですが、実行されていないのが現実の姿です。

都会の「早さ・便利さ・情報」と言う人工的な知識によって成り立って来た社会で大きく失われたものは、出力すなわち「汗をかく」と言う行動の部分であります。そのひとつの反動かも知れませんが「ひきこもり人間」が増えています。

例えば幼年期・少年期・青年期をいつもトップで過ごして来た経歴の持ち主が20代後半から30代に入りひきこもると言う状況が現出しております。

現代人が時として陥り易い点は幼年期の第一反抗期・少年時代の第二反抗期をしっかり経験しないで成人になってしまう事で、人間としての抵抗力あるいは免疫力と言うべきものが不足しており、ひきこもりや摂食障害になり易く苦しんでいる人が多くいるのです。

ひきこもりも摂食障害もその根元は「脳の指令」にあり、成育の過程で挫折や頓挫がない為に(入力過多)、出力と言う行動に異変が起きた状態となりひきこもり状態を現出することになります。うっ積した心の悩み苦しみを吐き出す事が解決のひとつであります。

心の悩み苦しみは脳から入ります。それが心に止まり新陳代謝が止まります。打開方法は出力と言う方法しかありません。心を打ち明けること(話す事)は心に止まっている事柄を吐き出させることであり、出力の一方法です。

ここに来て老人のひきこもりも増えて来ています。心を打ち明ける話し相手のいなくなった年寄りが増え社会問題になって来ています。

学校への登校拒否・家庭内暴力・成人してからの会社拒否・ひきこもり・摂食障害等々の原因の中に入力と出力と言う「知行合一」と言う教えから大きくはずれてしまった現代社会の沈みが伺えます。

近年においての親族間・親子間の諸問題は家族と言う絆の大切さ・地域交流の重要性・自然環境の保全の大切さ等々を戦後の日本社会がものの豊かさを追い求める余りに忘却して来た事柄です。しかし昨年の東日本大震災で少しは変化して来ている状況も生まれて来ています。

そして現代社会においてはこの膨大なデータの活用として「ビッグデータ革命」が起きようとしています。人間が作った(開発した)電子機器を人間が上手く使うなら良いのですが、まさにこれからの社会や世の中は電子機器が人間を支配する時代がやって来ます。大変な時代の到来はもう眼の前です。

「いじめ自殺」という、あってはならない事件(滋賀県大津市の中学校)が起こりました。

子供教育で悩んでいる方、子供との接し方等、子育てにおいて大変良い「詩・子ども」があります。一部をご紹介します。

 ドロシー・ロー・ノルト(アメリカ人・家庭教育学者)の詩
(現在スウェーデンの中学の教科書として使用されている。)

タイトル「子ども」

批判ばかりされた子供は・・・・・・・・非難することを覚える。
殴られて大きくなった子供は・・・・・力にたよることを覚える。
笑いものにされた子供は・・・・・・・・ものを言わずにいることを覚える。
皮肉にさらされた子供は・・・・・・・・鈍い良心の持ち主となる。
しかし
激励を受けた子供は・・・・・・・・・・自信を覚える。
寛容であった子供は・・・・・・・・・・忍耐を覚える。
称賛を受けた子供は・・・・・・・・・・評価することを覚える。
フェアプレーを経験した子供は・・公正を覚える。
友情を知る子供は・・・・・・・・・・・・親切を覚える。
安心を経験した子供は・・・・・・・・・信頼を覚える。
可愛がられ抱きしめられた子供は・・・世界中の愛情を感じとることを覚える。

教育の持つ力は大人になっての影響力に多大なる要因となります。

こうした詩は子供のみならず大人やあるいは民族・国と言った要因にまで広がります。物の豊かさを追い求め、心の豊かさや心の高揚を疎かにして行くと欲望ばかり求めることになります。

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忠臣と参謀役

2012年7月2日 月曜日

現在、国(政治)に於いても企業に於いても参謀役と言われる人がおりません。

昭和の時代に経営の神さま・教祖さまと言われた人がおりました。松下幸之助氏・中村天風氏・安岡正篤氏であります。

松下幸之助氏は皆さんもご存知のように松下電器(現在のパナソニック)の創業者であり、晩年数多くの経営に関する著書を記述しております。

中村天風氏は護国寺にて永年自身の経験を活かした講義を行って、現在も天風会館として護国寺前に会館があります。

安岡正篤氏は陽明学の分野から軍・政治家の参謀として吉田茂元首相の元で活躍し影響を与えた人物であります。今の憲法そして「平成」と言う元号の関係者と言われる人であり、一般には余り周知はされておりませんが、多くの政治家・官僚等の人達に影響を与えた人であります。

権力の中核にいる人や社長業にあたる人達には、常に忠臣にあたる人、参謀役にあたる人の存在が求められている訳であります。

忠臣の立場の人は上司の手足のごとく行動する役割であり、参謀役の人は上司の参謀となり補佐と助言を与える役割であります。

近年トップダウンと言う形態の経営が破綻した企業の一因に忠臣は数多くいたが参謀役にあたる人がいなかったと言うことであり、元ダイエーの故中内功氏や元コクドの堤義明氏等は共に良き参謀と言う立場の人が存在していなかったと言うことであります。

参謀としての理想の人物は三国志に登場する「諸葛孔明」であり、組織の中での役割分担としての大事な要因は立場なのです。

徳川家康の参謀役は天海僧上であり、豊臣秀吉の参謀役は竹中半兵衛・黒田官兵衛であります。多難なる時代の中で幅広く対応して行く為には、こうした忠臣の役割・参謀の役割(現在では部外監査役が求められています)と言う立場の重要性が強く求められるのです。

消費者主導の時代を迎える中で、経営の舵取りも大変難しくなっております。ワンマンと称された吉田茂元首相でも安岡正篤氏と言う参謀役にあたる人がいたと言う事であり、常に安岡氏がコンパス役としての役割にありました。

こうした先人・先哲の教訓が激動期の指針となります。

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